オタマジャクシの尾について、アメリカ・ミシガン大学などの研究グループが、とある実験をしました。
それはオタマジャクシを生まれた池に設置したタンクの中で、捕食者であるヤゴの入ったかごと共に飼育するというものでした。そしてヤゴの餌としては、生きたオタマジャクシを与えます。
捕食者に襲われたオタマジャクシは、周囲に捕食者の存在を知らせる警告フェロモンを水中に放出することは、これまでにも知られてきたことです。
数日間、ヤゴと同じタンク内で飼育されたオタマジャクシたちは、かごに入れられない限り命の安全は保障されていたものの、運悪く餌としてかごに入れられた仲間の発する警告フェロモンの影響をうけて、かごの外にいたオタマジャクシたちはストレスホルモンの一種、コルチコステロンの濃度が全身で上昇していることがわかりました。
この警告フェロモンやストレスホルモンが混ざった水の中で飼育されたオタマジャクシは、胴体が短くなる一方、尾が大きくなることがわかりました。
ところが同じ条件下でも、警告フェロモンやストレスホルモンの合成を阻害する化学物質を入れた水の中で飼育すると、尾が大きくなることはなかったといいます。
さらに尾が大きくなったオタマジャクシと、そうでないオタマジャクシをヤゴのはいったタンクに入れると、尾の大きいオタマジャクシの方が、生存率が高かったと言います。
つまりは怖い思いをすると尾が大きくなる、そして生存率も高くなる、という実験結果だったそうです。
研究グループは、ストレスホルモンが成長を促す働きをすることがわかったのは、初めてだったとのことです。
*実際の実験結果のオタマジャクシの画像は、ミシガン大学生物学部ニュースでご覧いただけます。
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