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カエルが脚を拡げたような蟇股(かえるまた)(2017年9月号)
お寺や神社や古民家など昔の建築物を見た時に、ぜひ注目していただきたい部分があります。それが今月ご紹介する「蟇股(かえるまた・蛙股とも書く)」です。さて、それは一体どの部分を指すのでしょう。
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蟇股とは
面白いことに、我が家のPCで「蟇股」と入力した瞬間、『日本国語大辞典』が自動的に起動して、「蟇股」の項目を示してくれました。要は建築部材の一つですが、それには二種類あることがわかります。
一つは組物と組物との間にある「本蟇股」。もう一つがこの『日本国語大辞典』の図で示されている、梁上に設置されてその上の荷重を支えるための分厚い板状の「板蟇股」です。後ほど、両方の事例をご紹介します。
実際、本物のカエルの脚と見比べてみると、確かに「蟇股」とは言い得て妙だとわかります。
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中山道・芦田宿本陣の蟇股
中山道の第26番目の宿場である
芦田宿
は、現在の長野県北佐久郡立科町に位置します。大きな宿場だったようで、ここには本陣のほかにも脇本陣が二軒あり、かの皇女和宮も江戸へ向かう途中、この宿の本陣で休憩し昼食をとったのだとか。
さて、その本陣はいまも残っており、
長野県宝に指定
されています。敷地内には現在も御子孫たちが住んでおられますが、敷地内に入って本陣の建物を外から見学することができます。その解説板に「蟇股」のことが書かれています。
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長野県木曽郡木曽町開田高原の熊野神社
同じく長野県の木曽郡木曽町開田高原にある
熊野神社
では、意匠を凝らした蟇股があります。それも「本蟇股」と「板蟇股」の両方が使われています。
小さい方の写真が上でご紹介した本陣と同じく「本蟇股」。たなびく雲の意匠でしょうか。そして大きい方の写真が「板蟇股」です。こちらは日輪の周りにたなびく雲の意匠だと思われます。
こちらのお社はGWの頃には水芭蕉やふきのとうの花が咲き誇り、今回ご紹介している「蟇股」の他にも象や竜などの見事な彫刻が見学できます。
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