かえるの学校

商家のカエル ~ 滋賀県長浜市・安藤家 その1 ~(2018年7月号)

マニア心くすぐる滋賀県長浜市

 滋賀県長浜市はその昔、羽柴秀吉が長浜城主となったころから開発整備が進められ、北国街道の要所・琵琶湖水運の港として栄えた所です。名所旧跡も数多く、小谷城跡などの浅井氏ゆかりの史跡や大寺院のほか、美術館・博物館、黒壁スクエアなど商業エリアも賑わっています。黒壁スクエアの一角には、海洋堂フィギュアミュージアム黒壁があり、迫力あるフィギュアの鑑賞と購入ができます。旧長浜駅をつかった鉄道スクエアなど、まさに各種マニア心くすぐる都市、それが長浜市なのです。
 その長浜市に、室町時代に移り住んできた旧家があります。秀吉の時代から長年にわたり長浜の自治を担い、明治期になってからは呉服商としてまちの発展に力を尽くしてきたのが安藤家です。今月は安藤家におけるカエルをご紹介します。 

商家とカエルはいい関係

  「無事かえる」「お金がかえる」「若がえる」……etcと、「かえる」とひっかけて縁起物として扱われるカエルは、商家にとってはまさにうってつけの置物です。安藤家でも玄関をくぐった先の土間に、どーんと立派なカエルが鎮座していました。
 この地方では「ひきかえる」といい、案内の看板によると「客を引くとの語呂合わせで、商家では店先に縁起のいい置き物として大切にされた」とあります。しかもこの「ひきかえる」は安藤家の勢いを示すように、杉の木の一本彫りで、日本一の大きさだと言われているそうです。木目が美しく、背中のいぼいぼもとてもリアルで眼光鋭いこの「ひきかえる」は、確かに御利益がありそう。撫でていくと旅行から「無事かえる」ことができるとあって、カエルの頭にはたくさんのお賽銭が供えられていました。
 振り返って玄関の方を見ると、なにやらかわいいステッカーが貼ってありました。荷物をしょって、商家のカエルらしい姿でした。
 このほか、家の中にもカエルがいたのですけど、それは8月号にてご紹介いたします。
     
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