クラス便り7月号で、みなさんにお知らせした「カエルツボカビ症」について、全国調査の中間報告が発表されましたのでお知らせします。

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クラス便り2007年7月号
 
 

参照記事

朝日新聞11月12日

毎日新聞Web11月11日

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野生での感染率は低く、飼育下で高い

 今年の6月から、環境省や国立環境研究所、麻布大学のチームなどが、カエルツボカビ症の全国調査を始めました。その中間結果が、11月10日に発表されました。

 調査方法は、野生のカエル、動物園・水族館などで飼育されているカエル、ペットや市販のカエルの3つに分類し、お腹を綿棒でこすってDNAを採取し調査します。
 結果は、野生カエルは523匹中、感染していたのは7%。動物園・水族館では107匹中69%。ペット・市販では556匹中16%の感染で、現時点では野生カエルの感染率は低く、大量死も未確認ということです。とはいえ、まだ調査サンプルが少ないので、4300匹以上の調査を経ないと、なんとも言えないそうです。

 11月27日には、環境省で「カエル・ツボカビ症」国内初の有識者検討会が開かれました。中間報告のときよりさらに多い、全国約750地点から集めた約1350サンプルの解析を今年度中に終わらせると報告がありました。また有識者検討会を、あと1〜2回開いて専門家の意見を集め、今後の対策にしたい考えです。
 

DNAで異なる病原性

 カエル・ツボカビは、病原性の異なるいくつかのDNAのタイプに分類され、海外で報告されているタイプのほかに、少なくても4種類のタイプを確認。強い病原性のあるものから、弱いものまであり、水族館などでみつかったのは弱いタイプとみられています。そのため、感染率は高いけれど、大量死に至らなかったのではないかと、調査チームは考察しています。病原性の強いタイプに関しては、沖縄県でみつかっています。

 また一方では、ツボカビ症の解明のため麻布大学のチームが、全国の野生環境で採取した23種200匹の在来種のカエルで、感染実験をすすめています。
 

もしペットのカエルが感染したら

 もしペットとして飼っているカエルが感染した場合、全国の「コア獣医師」に相談することができます。「コア獣医師」とは、「一般獣医師の相談役と同時に、一般飼育者向けの相談窓口、動物の引き取り、検体採取、疫学調査をおこなう」獣医師のことで、カエル・ツボカビ症に際して、全国で40人以上の獣医師が登録をしています。所在地や相談の方法については、関連リンクを参照してください。

早期治療で回復できる!?

 きちんとした治療をうければ、8割くらいは病状が回復するそうです。「コア獣医師」らが海外の文献を調べるなどして、イトラコナゾール、フルコナゾールといった抗真菌薬で薬浴させる方法で実績をあげています。

 しかし野生のカエルが感染した場合は治療を受けさせることが難しく、やはりツボカビ症について理解し、カエルの様子に気を配る人が増えることで、早期発見・感染防止に繋がると考えています。

 ぜひもう一度「クラス便り7月号」の関連リンクを参照して、来春の野生のカエルたちが目覚める日までに準備をお願いしたいと思います。