おなかの皮膚で、塩味がわかるんです


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カエル動画図鑑から
コロラドリバーヒキガエル

Terra Herps.
「コロラドリバーヒキガエル」

(1)みなさんは、カエルがなぜ真水でしか生活できないか、ごぞんじですか?カエルは皮膚が粘膜で覆われていて、塩分の高い水にはいると、体の水分が浸透圧により出て行ってしまうのです(一部の皮膚が厚いカエルの仲間には、汽水域で生活できるものもいます)。でもひょっとしたら、何かの拍子に、また誰かのいたずらで塩分を含んだ水を与えられたら、どうなるでしょう。
(2)カエルが体内水分を取り込む時には、経口ではなく皮膚から吸収しています。とくに陸上生活をするカエル(ヒキガエルやアマガエルの種類)は、おなかの皮膚から水分を取り込んでいます。そのおなかの皮膚が、塩分を感知できることを、アメリカの研究グループが発見しました。実験に使ったのは、コロラドリバーヒキガエルでした。 (4)この発見について、研究グループと應義塾大学医学部長井教授(味覚生理学)たちが共同で、おなかの皮膚でどのように塩分を感知するのか調べたのです。
 試しに、人の味覚のうち塩味だけわからなくするアミロライドという物質を混ぜた食塩水で実験すると、カエルが腹部を水に浸す時間が100秒に延びました。カエルは皮膚で、塩味がわかるということがわかりました。

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(3)実験は、カエルを24時間水から離して喉が渇いた状態にしたあと(このとき、カエルの体重は元より10%減っているそうです)、水を与えます。普通の水の場合は、腹部を水に浸した時間が約200秒。またその水をカエルの体液より濃い食塩水(約1.5%)にすると、カエルは腹部を水につけますが、約10秒で離れてしまいました。 (5)本来、味覚は口の中にある味細胞から、直接脳へ情報を伝えています。カエルも同様です。しかしカエルのおなかの皮膚には、このような味細胞はありませんし、皮膚の刺激は脊髄神経に伝達されます。
ではどうして、塩味がわかるのかというと、細胞表面にある特定の物質を通すチャンネルと呼ばれる入り口がそのカギと言われています。コロラドリバーヒキガエルの皮膚を調べると、外界と接している細胞膜に、ナトリウムチャンネルが多く分布していることが分かりました。このチャンネルを通って、ナトリウムイオンが取り込まれると、その刺激が脊髄神経に「塩味」として伝わっているのではないかと考えられています。