弥生時代のカエル
山口県埋蔵文化財センター 宮ケ久保遺跡
(1)人間とカエルの文化的関係は、いつからでしょう?
これまでに古代エジプトや南米の遺物で、カエルをモチーフにした石細工や金製品が出土していることは紹介してきました。これらの地域は、ナイル川や南米の熱帯雨林という自然環境を抱いた地域ですので、人間とカエルが出会う機会は非常に多かったと推察されます。
ところで日本ではどうなのかといいますと、やはり稲作農業が始まった弥生時代からのおつきあいのようです。今月ご紹介するのは、山口県埋蔵文化財センターです。
(2)山口県阿東徳佐(あとうとくさ)の水田下から発見された宮ケ久保遺跡。この遺跡は弥生時代中期の集落跡で、大量の木製品が出土したことで知られています。農具・工具・日用什器・紡織具・祭祀具・建材など、弥生時代に使われていたあらゆる木製用具が発見され、その中に蛙・鳥・猪を模した珍しい木製品がいっしょに見つかりました。

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(3)人間がムラを作り、組織的に農業を始めたころに、田に住む蛙、水田に住む虫や蛙などを餌にする鳥たち、農作物を狙う猪など、これらの生き物は当時の人々にとって身近な存在だったと考えられます。これらの木製品は、創作意欲を掻き立てられた人物が作ったのか、はたまた祭祀的意味で作られたのか、それはわかりません。しかしカエルという生き物が、当時の人々に意識されていたことは確かです。
 これからも、人間とカエルの文化的な関係が続きますように。
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