かえるの学校

屋根の隅にカエルがいた@伊勢河崎(2018年3月号)

商業都市 河﨑

 伊勢はお伊勢参りの人々で賑わうだけでなく、東国と西国の多くの人々が行き交う商業都市として栄えてきました。川を利用した水運と、船で運ばれてきた物資を荷揚げして陸運するための「川の港」として栄えたのが、今回ご紹介する河﨑です。近鉄伊勢市駅から北西へ1kmほどのところに位置し、いまも蔵や古い町家が残り、往時の伊勢商人たちの面影が残っています。
 その町屋の屋根には、さまざまな形の「隅蓋」(家の両隅で屋根の隅の向きが違う瓦と瓦がぶつかるところに、水が入らないようにフタをする)がのっています。 画像で赤い丸をしているあたりです。これは各家でそれぞれ工夫があり、形もさまざまですが水に関係するものが多いのが特徴です。 火事から家を守るようにという願いが込められているのです。
 河﨑については、伊勢河崎商人館のサイトで詳しく説明があるので、そちらをご参照下さい。

屋根の上のカエル

 上でご紹介した画像が村田家です。河﨑本通りに面しており、目印は道標とお向かいにある古本屋「ぽらん」です。こちらの隅蓋が、案内板にも書いてあるようにガマガエルに乗った仙人(上の画像では左側の丸印)と、ガマガエル(右側の丸印)なのです。
 ガマガエルは肌の質感がけっこうリアルな作りのカエルで、笑っているように見えるのがかわいいです。また仙人も、白髯のいわゆる仙人っぽくなくて、少年風なのがいい感じ。ガマ仙人だと、三本足のカエルに乗っていることが多いですが、こちらのガマガエルは画像でははっきり確認はできないものの、後肢の付き方からみると(4枚目の画像)四本足のように見えます。
 こちらのお宅は現在も子孫の方々が住んでいるので、内部の公開はされていません。家から出入りされたりもするので、写真など撮るさいにはご迷惑にならないようお気を付け下さい。また河﨑本通りは狭い道ですが交通量も多いので、そちらもお気を付け下さい。
     
     

水に関係する「隅蓋」

 そのひとつひとつに住んでいる人の願いが込められている「隅蓋」。水に関係するものとして、一番多いのは「波」。 他に「鯉」「船」「亀」「桃」 などがありました。また珍しい形としては「丸篭」もあり、造形そのものも楽しめます。
        
 
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