かえるの学校

戸部のかえる@名古屋市南区(2020年3月号)

戦国武将が唯一、切ることができなかったカエル

織田氏や今川氏がその昔、覇権を争っていた時のお話でございます。この戸部の地を治めた戦国武将、戸部政直(通称:戸部新左衛門)は、勇猛かつ気性の激しいお方であったと言われております。なにせご自分の前を横切ることを許さず、そうした者は皆、切り捨てたとのこと。しかしそのような激しい武将でも、唯一切ることができなかったのが、跳んで逃げるカエルだったとのこと。
その言い伝えにちなみ、この地では無事に帰ることを祈願して「戸部蛙」という郷土玩具が作られ、今もこの地を通る東海道周辺にて、見ることができるのです。

長楽寺

一つ目は長楽寺地図)。こちらは動物供養のお寺として名高いそうです。清水稲荷のあるあたりに、座禅を組むカエルがいました。敷物部分の色彩と、素朴なカエル像とのコントラストもきれいです。
 

富部神社


二つ目は先ほどの長楽寺のお隣にあたる、富部神社地図)。こちらの境内でも、あちこちで戸部蛙を見つけることができます。
私は二つしか見つけることができなかったのですが、とりあえず社務所前のはすぐ見つけることができると思います。本殿に向かって左側です。この社務所では、お守りとして戸部蛙を買うこともできるそうです。
もう一つは富部神社に入る鳥居をくぐってすぐ右側、そこに戸部新左衛門政直霊位碑や戸部城趾碑などと並んで、小林橘川句碑「ほととぎす 泣いてすぐるや 戸部の城」があります。その前にもカエルが並べてありました。


 

マックスバリュエクスプレス笠寺店前の戸部蛙

先ほどご紹介したエリアから少し離れて、笠寺方面に向かいます。名古屋環状線の笠寺西門交差点に、マックスバリュエクスプレス笠寺店があります。その入り口前、環状線に沿った歩道に戸部蛙のモニュメントがあるのです。こちらの蛙たちは、とても素朴な雰囲気でかわいらしいものでした。

 
そのモニュメントの並びある「笠寺と『戸部の蛙』」の説明書きによると「笠寺観音の節分は、例年にぎわい、露店が並ぶ。この中に郷土玩具として売り出されたものに『戸部の蛙』がある。戸部の蛙は、昔、戸部城主、戸部新左衛門にまつわる伝説もあるが、文化文政の頃、笠寺の瓦職人が瓦粘土で手なぐさみに作ったことに始まると言われている。手作りの陶蛙で大小あり(3cm~5cm)、あまがえる、しまがえる、がまがえる、とのさまがえる、かぶり相撲、子負ひなど数種がある。素焼きの極めて素朴なものであったが、現在は釉(うわぐすり)のかかったものとなっている。平成三年名古屋市」とあり、伝説とは違って素朴な理由で誕生したことが窺えます。 

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