かえるの学校

マイクロプラスチックはオタマジャクシにも影響(2020年4月号)

マイクロプラスチック問題

いま環境汚染の問題で注目されているのがマイクロプラスチック。私たちの暮らしを便利にしている容器・包装・ペットボトル・ビニール袋に、歯磨き粉に含まれる研磨剤などなど、プラスチックは欠かせない存在となっています。しかしそれらが使い捨てにされ、十分な処理がされずに環境中に流出したり、安易にそこら辺に捨てられたりしまうこともあります。その捨てられたプラスチックが行き着く先は、海。魚や鳥、ウミガメなどが、ビニール袋をえさと間違えて食べてしまったことにより傷つけられ、死に至ることもあります。また海岸に打ち上げられたプラスチックは、波や紫外線によりどんどん細かくなり、やがては5ミリ以下の小さな粒子になっていきます。これをマイクロプラスチックというのです。この細かな粒子がまた海洋に放出され、魚が体内に取り入れ、それをまた海鳥が食べてまたその体内に蓄積して……という連鎖が産まれています。魚を食べるのは人間も一緒で、プラスチックの製造過程で化学物質が使われていることもあり、人体に影響が出ることも懸念されています(WWFジャパンのマイクロプラスチック問題特集)。

淡水域の生物にも影響が

このようにマイクロプラスチックは、主に海や海岸などで問題視されていますが、実は淡水域の生物にも影響を及ぼしていることを、このたびスペインのバスク大の研究グループが発表しました。
研究グループは、川や湖、池に棲む生物への影響を調べる実験を行い、直径が0.01ミリ以下のマイクロプラスチックを入れた水の中に、オタマジャクシや石に付着して生きる生物などを15日間入れて飼育。その結果、1ミリリットル中に1000個のマイクロプラスチックを入れた水で飼育したオタマジャクシは死に、石に付着して生きる生物の死亡率も高くなることがわかりました。それより低い濃度の場合、オタマジャクシは死ぬことはなかったものの、成長が遅くなったとのことです。
そしてそれぞれの生物の体や糞便からマイクロプラスチックが検出され、食物連鎖を通じて取り込まれていることが確認されました。
研究グループは、淡水に生きる生物にとってもマイクロプラスチックの影響があり、加えて環境汚染や気候変動、生息地の消失とともに脅威となることを指摘しています。
この研究結果は、環境科学誌『Environmental Pollution 』に掲載されています。
この研究誌には、マイクロプラスチックがオタマジャクシの肝臓に蓄積されることを指摘した論文や、マイクロプラスチックを摂取したオタマジャクシの行動力が低下することの論文も掲載されていました。
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