かえるの学校

「ヘビに睨まれたカエル」の意味が変わるかも!?(2020年5月号)

「蛇に睨まれた蛙」とは

「蛇に睨まれた蛙」ということわざを、お聞きになったことがあると思います。意味は「恐怖で立ちすくむ様子」で、捕食者である蛇に狙われた蛙は、恐怖のあまりに動けなくなるという、実際にある現象からできたことわざです。しかし近年、京都大学の研究チームが発表した論文に、この通説を覆す結果が書かれていました。

後手を狙え

研究チームはシマヘビとトノサマガエルを対面させて、ヘビがカエルに噛みつこうとする動きと、カエルが逃げる動きをビデオに撮影して分析をしました。
その結果カエルは動けないのでは無く、ヘビの動きを見極めるために、じっとしていたということがわかりました。
つまり、カエルはいったん跳ぶと着地までは方向を変えることができません。先に動くと、ヘビにその動きを読まれて空中で捕まりやすいのです。
またヘビは獲物を捕食する際に、折り曲げた体をバネのように伸ばして動くため、こちらも先に動いてしまうと方向が変えられず、獲物に逃げられてしまいます。また再び獲物を狙うには、一度伸びきった体を元に戻さなければならないため、すぐには対応できないのです。
こうした観察結果から、カエルにとってもヘビにとっても、相手より後手に回ることが有利に働くため、互いの動きを見極めようとして、にらみ合う膠着状態になっているのだと考えられます。
ただし後手をとるには、間合い重要になってきます。ヘビの攻撃を一度避けたうえで逃げ出すには、互いの距離が近すぎるとできません。だいたい5~10cmくらいであれば、カエルは先に逃げだし、ヘビも速攻をかけてきます。
研究チームの談話によると、蛇に睨まれた蛙とは「生き残るための戦略」とみるのが適切かもしれないとのことでした。
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