かえるの学校

「山岳修験者? のヒキガエル 」(2021年6月号)

山頂めざして歩む

今月は、朝日新聞の2021年5月25日付夕刊にて、掲載されていた記事をご紹介します。
記事の内容をかいつまんでお話しますと、福岡県太宰府市にある宝満山の麓の池から、標高差600メートルに及ぶ山頂付近まで、毎年春にヒキガエルたちが登っていくことを地元の方が発見し、観察を続けているというものです。山頂付近に棲む親ガエルは、1~2月頃に麓まで降りて産卵。その後、オタマジャクシから1センチ程度の子ガエルになったら、40日ほどかけて親ガエルたちが棲む山頂付近を目指すというのです。
その道のりは文字通り平坦ではなく、舗装された林道を横切る際に輪禍に遭う、側溝に落ちると上がれなくなる(イギリスではこれのレスキュー隊があることは、2019年5月号でご紹介しています)、ヘビ、アリ、登山者など危険に満ちています。まさしく危険と隣り合わせの山修行! 観察者の方々のご尽力で、登山道には登山者に「踏まないで」と呼びかける看板も設置されているそうです。

なぜ山頂をめざすのか

記事によりますと、観察者の方々はヒキガエルがなぜ山頂を目指すかについて、「山頂には天敵のヘビがいないのでは」と仮説をたてて観察してみたけれど、実際にはヘビがいたし、ヒキガエルに共通する習性なのかと他の生息地の様子も聞いたけれど、ヒキガエルたちが移動するという話を聞いたことがないとのことで、理由がわからないそうです。一つ鍵になるのが、「におい」ではないかとのこと。過去にもカエルの嗅覚についての論文があるそうで、登山者が踏んだヒキガエルのにおいが登山道に付いたために、それをたどっているのではないかと推察していました。

カエルが元いた場所に帰る実験があった

この記事を読んで、思い出したことがあります。もうずいぶん古い話ですけど、テレビのバラエティ番組で「ある場所に棲んでいるカエルを別の場所に連れて行くと、そのカエルが元の場所に帰るのか」という企画があったのです。それが確か、追いかけがしやすいヒキガエルだったように記憶しています。実際にカエルは雨の日などを選んで移動して、無事に元の住処に帰ることができました。
当時は掲示板が全盛時代でしたので、当校にも掲示板を設置していたのですけど、この番組の話題で盛り上がったので覚えていたのです。そのときのログがないか、また当時は掲示板に書かれたカエルに関する情報を、別途紹介するページも作っていたので、ファイルを探し回ったのですけどありませんでした。
番組ではなぜカエルが帰るのか、その理由には触れていなかったように思います。しかし今回、生まれた池から親たちが住む山頂を目指すという話を聞いて、ヒキガエルにはそういう習性が備わっているのかもと思った次第です。
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