クラス便り3月号

だんだん暖かくなってきたので、今月は春っぽく「カエルと植物について」の話題です。
カエルと葉っぱは仲良しこよし
校長「カエルと言えば、睡蓮の葉っぱだな」

教頭「そうですね。いろんな置物でも睡蓮の葉っぱに座るカエルというモチーフが多用されてますから」

校長「しかし何で睡蓮なの?」

教頭「まあ、池に住むカエルさんの格好の休み場だからでしょう。陸に上がるとヘビなどの捕食者に見つかった場合、逃げるのが大変ですから」

校長「なるほど、池に浮かぶ睡蓮なら、危ないって思ったときドボンと池に飛び込めばいいのか」

教頭「時に、校長先生はカエルと関連のある植物の名前を御存知で?」

校長「え、そんなのがあるの?」

教頭「はい。先に出ていた睡蓮とよく似ておりますが、「蛙の円座」と呼ばれるトチカガミという植物がそれです。円座というのは、菅などで渦巻き状に編まれた座布団大の敷物のことです」

校長「ハート型の葉というのが実にラブリー!アマガエルさんを乗せてみたい」

教頭「葉の大きさは4〜7pだそうです」

教頭「こちらは先程のトチカガミとよく似ておりますが、アサザという植物で「蛙の座布団」と言われております。葉の大きさは5〜10pほどです」

校長「うんうん、トノサマガエルが乗ると座布団という感じがピッタリくるな」

教頭「しかし先程のトチカガミ少し大きいのに、座布団とは面白いですね」

教頭「で、これが「蛙の面掻き」と言われるイシミカワです。道ばたでよく見かける植物です。茎には下向きに棘が生えていて、その棘をつかって別の植物に絡まる性質を持っているのです。この下向きの棘で、カエルが顔を掻くのだと想像されたことから、こう呼ばれたのでしょう。しかしここで言うカエルとはヒキガエルさんかもしれません。彼らはよく道ばたで出没したでしょうし、見るからに皮が厚そうですものね」

校長「ほほぉ、ちょっと顔を掻くには痛そうだな。しかし背中を掻いたら気持ちよさそう。我々は前脚が短いからね」

教頭「あと、某有名クイズ番組でも取り上げられてましたが、秋になると色づく楓は、元々「カエルデ(蝦手)」が語源だそうです」

校長「なるほど、楓の葉は我々の手にそっくりだね」

教頭「そうです、『万葉集』でも「蝦手」と書かれている例があります。秋の相聞歌の一つですが、

「大伴田村大嬢の妹坂上大嬢に与へし歌二首」より1623番
 我がやどに もみつかへるて見るごとに
           妹をかけつつ恋ひぬ日はなし
(吾屋戸尓 黄変蝦手 毎見 妹乎懸管 不恋日者無)

訳 我が家の庭に色づく楓を見るたびに、あなたを心に掛けて恋しく思わない日はありません。(補足 美しく紅葉した楓の色に妹の紅顔を偲んだ歌) 
(以上『新日本古典文学大系 萬葉集二』を参照)

ここで詠まれているのが「かへるで」、つまり楓ですね」

校長「ふーむ、水辺の植物は我々とすぐ結びつけることができるだろうけど、道ばたの植物や楓の様な木の葉を見て、我々カエルを思い出してもらえたなんて光栄だなぁ」

教頭「そうですね、楓は特に面白いと思いました」

校長・教頭「と、まとまったところで又来月!」