クラス便り5月号


先月号では、農林水産省がすすめる「環境創造型事業」について、校長と教頭が言及してきました。
カエルをはじめとする水棲生物との共存をはかって、水路や堰の改善がなされているのですが、どうやら人間様の都合で、一概にすべての水路での共存はできないようです。さて、どうなるのやら…

人間様とカエルは共生できるのか?(其の二)

校長:「先月号で、人間様の都合最優先型水路と共生型水路を紹介してきた訳だが、すべての水路を共生型にかえる訳にはいかない、ということで終わっていたよね」
教頭:「はい、そうでした。いいところで終わってました」
校長:「では今月号では、それがどういう事なのかを説明していこう」
校長:「日本全国における、水路の総距離ってどれくらいだか知ってる?」
教頭:「さぁ…」
校長:「延べ39207kmもあるんだよ。そのうち、国が整備したのが18351kmあるんだ。だたこの数値は主な水路のみであって、小さな水路をいれると、もっと距離が伸びることになる」
教頭:「ほほう」
校長:「これだけの距離があれば、いくら国家が音頭を取ったところで、整備していくのは途方もないことだとわかってくれるよね?」
教頭:「確かに…しかも半分以上は民間が作った水路だとすると、予算の都合やなんかで水路や堰の改善なんて、とてもじゃないけど手が回らないってことですか」
校長:「そう、たとえ共生型水路にしても維持管理費がかさむしね。だからいくら環境に配慮して欲しいと願っても、なかなか実現できることではないんだよ」
教頭 :「そうですよねぇ」

日本の水路の総距離は、ほぼ地球一周分
校長:「だけど「お金も時間もないし、はいおしまい」では我々とて困る訳だな。第一、それでは「共生する」ってことにはなり得ない」
教頭:「では、どうするのです?」
校長:「「共生する」ってことは、お互いのことを尊重しあう必要があるよね。ってことで、地域住民の意見と、我々生物の意見…といっても我々は本来はしゃべれないので、その道の人たちに環境の調査・分析をしてもらって、どのようにすればいいのかを考えるんだ」
教頭:「ふむ。すると、人間様の都合も意見としてでるし、生物側の都合も代弁してもらえるってことで、お互い折り合える点を見つけやすいってことですね」
校長:「そしてさらに大切なのは、その地域に住む人々が、自然とどのように付き合いたいと考えているかだ」
教頭:「というと?」
校長:「例えば、子供たちの教育の場として水路を活用したいと考えている地域ならば、前回紹介した共生型水路をその地域に提案していけばいいんだ。水路の管理や維持も、子供たちに教育の一環として手伝わせることができるしな。また、環境に配慮することはわかってはいるけれど、水路の維持管理にこれ以上労力とお金は出せないという地域には、人間様の都合を最優先しつつ、環境に配慮した水路を提案していけるな」

人間様の都合を最優先しつつ、
環境にも配慮した水路
教頭:「ははぁ、地域により細かく対応していくことで、人間様にも我々生物にもよりよい結果が出るわけですね」
校長:「ま、そういう訳だ。農林水産省では、これらの水路改善ばかりではなく、環境に配慮した新たな農村作りというテーマにまで視野を広げているそうだ」
教頭:「人間様の意識もずいぶん変わりましたよね」
校長:「そうだな。自然はすべての生き物のもの。忘れないようにしたいね」
さて、来月はお待ちかね!!当校名物「K-1」が開催されます。今年もふるってご参加下さいね。

■HOMEへもどる

■月別一覧ページにもどる

■授業へもどる