
小田原には室町時代から山城が置かれ、北条早雲から五代にわたり、北条氏一族が関東一帯を支配する中心拠点とした小田原城があります。その小田原城にほど近いところに、北条稲荷があります。稲荷ですから、祀られているのは狐。五穀豊穣を願って……といいたいところですが、こちらの稲荷社は、実は狐の祟りを鎮めるために建立されたのだといいます。その北条稲荷の参道脇に、蛙石が鎮座しています。これまでにもさまざまな「蛙石」をご紹介してきましたが、こちらの蛙石は格が違います。なんと蛙石明神としてあがめられ、北条稲荷の末社という由緒正しい蛙石なのです。
というのもこの蛙石は、これまでに小田原に異変がある時には、事前に鳴いて知らせてきたという伝承があるのです。ウィキペディア「蛙石」によりますと、「小田原城落城、江戸時代の2回の震災、明治の小田原大海嘯、大正の関東大震災、昭和の小田原空襲の前夜にも盛んに鳴いた」というのです。
私の撮った写真の構図が今ひとつのため、あまりカエルっぽく見えませんが、ウィキペディアに掲載されていた写真は、きちんとカエルです。
見た目は小ぶりな岩ですが、小田原大海嘯の時にも少しも移動しなかったため、掘り下げてみたことがあったそうです。しかし3メートル掘っても下部に達することができず、大きな岩盤の一部が露出したものだと考えられています。
