4月です。かえるの学校にもたくさんの新入生がやってきました。新たに人間の学校や会社に入られた皆さんも、どうか頑張って欲しいと願っております。 (以上 ぱくぱく校長談) |
校長:「今月は、「ガマの油」のお話です」
教頭:「「ガマの油」と言えば・・・独特の口上で有名ですよね」 校長:「そうだね。今回は「ガマの油」とは何かを解説してみたいと思います」 教頭:「なお、今回「ガマの油」をおみやげに下さった愛さん、どうもありがとうございました」 |
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校長:「さてさて、「ガマの油」とは切り傷によく効くという軟膏のことでありますが、その成分は御存知でしょうか?」
教頭:「えーっと、四六のガマを鏡張りの箱に入れて、自分の姿を見たガマさんがびっくりして流した脂汗からできている、と「99年8月号」で勉強しましたが」 校長:「口上ではそうですね。実際ガマさんは目の後ろに耳腺というのがあり、そこから白い毒物を分泌するのです」 教頭:「それは攻撃のためではなく、自らの身を守るためですね」 校長:「はい、捕食されそうになったとき、毒を分泌すれば助かりますからね。で、この毒の成分はおおきく二つの成分にわかれ、一つは強心作用を持つ「ブフォタリン」と、もう一つは幻覚作用を起こす「ブフォテニン」です。前者は強心作用だけでなく、止血作用もあります。また中国ではガマさんの毒液を小麦粉で固めて「蟾酥(せんそ)」という薬にしております。強心の他鎮痛・消炎にも効果があるそうです」 |
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校長:「元々ガマの油はこの「蟾酥」を元に製造されていたので医薬品扱いでした。これは「陣中膏」という名称でした。しかし製造会社が倒産してしまい、本来の「ガマの油」は入手できない(在庫分があるらしいけど)そうです」
教頭:「え、では当校にいただいた「ガマの油」って何なのです?そういえば土産物屋で手に入れたと聞きましたが・・・あれ?医薬品なら薬局でしか手に入りませんよね!?」 校長:「そこです。実は今の「ガマの油」には「蟾酥」が使われていないのですよ。物によっていろいろあるようですが、大豆油や馬油、ハッカ油などをベースに様々な添加物(紫根、スクワラン、尿素等)を加えて製造されています。いわゆるハンドクリームみたいなものでしょう」 教頭:「ふむむ、そういや効能書きもないですね」 校長:「縁日などで口上と共に売られていたのは、ほとんどが「馬油」だったそうです」 |
←中身はこんな感じ。「陣中膏」は白いそうです。 |
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校長:「でも、「ガマの油」は歴史が古く、その由来としてこういう民話があるのです。
家康の頃、知足院中禅寺(いまの筑波神社)の光誉という医術の心得がある僧侶が、大阪冬の陣と夏の陣に従軍したとき、持参の膏薬で何百人もの傷兵を片っ端から介抱した。という。その膏薬をつけるとぴたりと血が止まり、すぐ痛みも消えてしまうので、噂は全軍に広まった。この光誉は、目玉の飛び出たイボだらけの顔だったので「ガマ将軍」と呼ばれていた。そして「ガマ将軍の油薬」が略され「ガマの油」となった。 そしてこの「ガマの油」が大々的に広まるきっかけとなったのが独特の口上です。これは江戸時代に筑波山麓に住んでいた永井兵助という男が考案したと言い伝えられています。おそらく元々は筑波山麓辺りで民間療法として作られていたものが、こうした伝説や口上と共に全国に広まったもとと思われますね」 教頭:「なるほど・・・今や筑波といえば「ガマ」と連想する人がけっこういるでしょうし(←え、そんなことない?)、筑波山麓のおみやげには欠かせない存在ですから、本来の物とは違ったとしても残していただきたいものです」 校長:「はい」 |