8月某日、東京は江東区にある「芭蕉記念館」を訪ねてきました。芭蕉とカエルの関係といえば、そう!あの句ですね。
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閑雅な春の日、淀んだ古池のあたりは静まりかえっている。すると蛙の飛び込む水の音が響いてあたりの静寂を破ったと思ったが、それも一瞬。あとはまた元のひっそりとした静かさに帰った。(新日本古典文学大系71『元禄俳諧集』より) これは貞享三年(1686)の春の句です。蕉風開眼の句として有名です。古来和歌の世界では蛙(カジカガエルを指すことが多かった)は鳴くものとして扱われていたけれど(クラス便り2000年12月号・2002年5月号を参照のこと)、芭蕉は飛ぶ蛙を用い、さらに水に飛び込む音を取り上げて閑寂幽玄の情趣を表現したことに、この句の新しさがあるのです。
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またこの句を発句として、同門の俳人達が詠んだ句を番えて編まれたのが『蛙合』という句集です。芭蕉の詠んだ句を倣って、ちいさな生き物、蛙の姿を通して詩情を発見し、新風を開拓していこうという意欲にあふれています。
気に入ったものだけ、少し紹介してみます。
解説はなくとも、句を読んだだけで蛙の様々な姿が目に浮かびませんか? |
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「芭蕉記念館」から歩いて2〜3分のところには、芭蕉稲荷神社があります。大正6年(1917年)の大津波で、もともとあった稲荷神社付近から石蛙が見つかりました。 | ||||||||||||
この石蛙が芭蕉遺愛のものと考えられ、このことからこの地を芭蕉庵跡と推定して、祠に石蛙を祭り神社としたのが芭蕉稲荷神社の由来です。見つかった石蛙は、「芭蕉記念館」内に展示されていました。撮影不可だったので、ご紹介はできないのが残念です。 |
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