校長:「さて、右の地図の中で、赤枠で囲ってある地名の「鶏冠井」、読めますでしょうか?」
教頭:「ふーむ、この地名は当校が位置する京都府向日市の中でも、一番の難読地名ですね。私は読めません。それより、「向日市」も読みにくい地名ですよね。これは「むこうし」と読みます」 校長:「お気づきの生徒さんもいるでしょうが、この地図の左上に「長岡宮跡」と書いてあります。当校のある向日市とは、とても歴史ある土地でして、地名にも古い時代のものがそのまま使われているのです」 |
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(イメージ図です。ええかげんな地図ってことです) |
校長:「ところで、この謎の地名のある場所の地形図をご覧いただきましょう。左図はここいらの地形を横から見たイメージ図です。イメージですから、正確な地図とは違いますよ」
教頭:「地図の左、西側に向日丘陵があるんですね。そして東側は沖積低地(ちゅうせきていち)ですか。謎の地名はこの沖積低地上にありますね」 校長:「そうです。この図でわかるように、ここらへんは丘陵からすぐ低地(平地)となっています。さらに丘陵と低地の隙間からは、水がしみ出していきます」 |
校長:「次に右図をご覧下さい。これもイメージ図ですが、丘陵と低地の間からは、たくさんの水の筋、つまり川が流れ出ていますね。実際はこれらの水の筋は地下に潜ったり、埋め立てられているので、この図ではだいたいこんな感じ、ってことで描き加えてます。それはさておき、これらの水の筋は土砂を運び出し、扇状に堆積していきます」
教頭:「ふーん。で、一体これらの地形図と読めない地名とどんな関係があるのですか?」 校長:「そこなんですよ。地形からその土地の名前が決まることは知られてますが、この難読地名も土地の形状からつけられたと考えられているのです。つまりこれはこの地名を読むためのヒントなのです」 教頭:「というと?」 校長:「まずは、この水の筋をじっと見て下さい。そしておもむろに自分の手をじっと見つめてみると…」 |
(これもイメージ図。ええかげんです) |
教頭:「うーん?????」
校長:「わかりませんか?そういや、君の手は棒状でしたな。では次のヒントを。その昔、平安末期にはここいらに貴族の山荘や荘園がありました。このころより、ここの地名は読みはほぼ一緒で、字だけがかわりました。風流にするためですね。それが現在の地名である「鶏冠井」。元は違う字だったのです。そしてこの元の地名にあててあった字と、「鶏冠」の読みは、左図の画像が手がかりです」 教頭:「あ、この手、そしてこの葉っぱは…」 校長:「もうおわかりですね?わからない生徒さんは、クラス便り2002年3月号を読み直しましょう」 |
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教頭:「ははぁん、確かに水の筋はカエルの手に見えますね。そしてカエルの手みたいな地形で、更に水が豊富であることから「井戸」の「井」がついたわけですか」
校長:「そう!平安時代の記録では「蝦手井(かえるてい)」と表記してあったそうです」 教頭:「となると、現在の読みも「かえるてい」、もしくは「かえでい」ですか?」 校長:「いいえ、それは違います。読みの語呂が悪いから、読みやすいように変化しました」 教頭:「ねえ、もうそろそろ答えを教えて下さいよ」 校長:「生徒の皆さんは、わかりましたでしょうか?ちなみにこの読みをATOK15で入力すると、ちゃんと単語として変換できました。答えは、このページの下部にあります。ドラッグして確認してね」 教頭:「うぁ〜ん、私にも教えて下さい〜(泣)」 |
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わかった?
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答え(「かいで」と読みます。通販を頼むときに、住所を説明するのが大変そうですね)