国際カエル年だった今年一年を振り返って、みなさんどうでしたでしょう。何かイベント等に参加されましたか?今年はこれまでに比べ、新聞でカエルに関する記事を、よく見かけたように思います。これが今年一年に限らず、これからも身近な生き物であるカエルに、みなさんの関心が向くことを願っています。

関連リンク


クラス便り08年2月号

カエルツボカビ症について

参照記事

朝日新聞08年11月14日

■HOMEへもどる

■月別一覧ページにもどる

■授業へもどる

ラナウイルスにも警戒を

 カエルの記事が増えた要因の一つには、カエルツボカビ症の国内での感染例が見つかったことがあげられます。もとより国際カエル年の提唱は、カエルツボカビ症の流行を憂えたことから始まりました(クラス便り2008年2月号参照)。昨年から、麻布大学の研究チームを中心に、国内での感染をずっと警戒してきてますが、幸い日本での流行はいまのところは大丈夫そうです。

 しかし、最近あらたな脅威があらわれました。ラナウイルスです(右欄参照)。
 朝日新聞11月14日付けの科学ニュースで、「漁業に深刻な被害を出しているラナウイルスに、カエルが感染して大量死する例が海外で相次いでいる。日本上陸の報告はまだないが、国際獣疫事務局(OIE)は今年5月、報告を義務づける感染症に指定し、日本など加盟国に注意を呼びかけた。国内の研究者も調査を始める」と報じました。さらに記事によると、「ラナウイルスによるカエルの大量死はアジア、欧州、豪州などで約30件の報告があった。両生類に感染するラナウイルスの仲間は約20種類あった。北米で06年に実施した約110地点の調査では、カエルの死因の43%を占め、ツボカビの16%を上回った」とあります。

 実際ヨーロッパでは今年8月、「カエルやサンショウウオの死体を送ってください」と、デンマーク工科大学(DTU)が一般市民に対して呼びかけました。集まった死体はラナウイルスの研究に使われるそうです(技術系業界紙「Ingenioeren」による)。

 今のところ、幸いにも日本国内への侵入の報告はないそうですが、ペットとして海外から多数のカエルが検疫なしで輸入されている現状から、それらのなかに感染したカエルが混じる可能性もあり、国内の在来種への感染が懸念されています。

 身近な生き物であるカエルたちに、脅威が続いています。前にも書きましたが、私たちにできることは、もしペットのカエルが大量死したとか、屋外で大量のカエルの死体を発見した際に、すぐにしかるべき研究機関(麻布大学など)へ知らせることが重要です。感染を広げないためにも、正しい知識を身に付け、カエルたちを守っていきましょう。

もしペットのカエルが感染したら
(07年12月号に掲載したものの再録)
 
 もしペットとして飼っているカエルが感染した場合、全国の「コア獣医師」に相談することができます。「コア獣医師」とは、「一般獣医師の相談役と同時に、一般飼育者向けの相談窓口、動物の引き取り、検体採取、疫学調査をおこなう」獣医師のことで、カエル・ツボカビ症に際して、全国で40人以上の獣医師が登録をしています。所在地や相談の方法については、関連リンクを参照してください。

ラナウイルスとは?

主に魚類、両生類、爬虫類に感染する。オーストラリアでスズキの仲間やニジマスの幼魚が大量死する被害が出ている。カエルへの感染は、手足が出始めたオタマジャクシが感染し、出血で腹が赤くなる特徴がある。ラナウイルスは55度以上なら15〜30分で死滅するが、低温や乾燥に強く、冷凍しても生き延びる。
(朝日新聞の記事による)