クラス便り2月号

僕らは農薬?
校長:「おフランス君、君って農薬?」

教頭:「はぁ?何言ってるんですか校長。私が農薬ですって?」

校長:「ふむ、まあそれが普通の反応だよな」

教頭:「一体何なんですか?」

校長:「実はな、昨年11月21日に「農薬取締法改正案」が、衆院を通過し、今年の3月から施行される見通しだ。今回の改正案では、無登録農薬の販売・輸入・製造・使用を法的に禁じ、以後使用した者に対しては罰則を設けることになったのだ」

教頭:「それが我々と、どう関係するので?」

校長:「そこなんだよ。ちょっと思い返して欲しいのだが、以前クラス便り2000年5月号で無農薬農業としてアマガエルやテントウムシを使っている農家の話をしただろう?これがだね、「農薬取締法」では「農作物の病虫害防除」に使用するものは、それがいかなるものであれ農薬に分類されるというのだ」

教頭:「へ?となると、野菜についた虫を食べるアマガエルさん達も農薬ってことですか?」

校長:「うん、そういうことになるな。他にもアブラムシ殺虫用の牛乳、うどんこ病を防除する食酢液や重曹液、土壌消毒用の熱湯などが例示されておった」

教頭:「じゃ、田の草を取るアイガモさんは?」

校長:「法に照らせば、農薬になるな」

教頭:「えぇぇぇぇ!?」

校長:「こういった牛乳や熱湯などは、「その原材料に照らし農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれがないことが明らかなものとして農林水産大臣及び環境大臣が指定する農薬」として、「特定農薬」と呼ぶそうだ」

教頭:「なるほど、「特定農薬」として認められれば、使用OKになるわけですね」

教頭:「しかし有機農法が広まっている現在、いろんな病虫害防除の方法があるから、「特定農薬」といってもそれを許可するのが大変でしょうに」

校長:「それでだ。農水省は、全国から『「特定農薬」に関連する農林業資材の情報』を募集したのだよ。募集期間が短期間だったにも関わらず2900件ほどの情報が寄せられたそうだ」

教頭:「なになに…木酢液やお塩、発酵乳に木工用ボンド?ドライアイスや銅・銀、お酒、電解水、キトサンetc…その他何十種類も。生き物だと、我々カエルのほか、アイガモ、アヒル、スズメやコイ、ダニ、カブトエビもですか。他にも寄生バチやウイルス類も例に挙がっていて、 はーっ、数え上げるのも大変なくらい、いろんな情報があがったんですね」

校長:「だよね。実際この特定農薬の指定については、1月21日に中央環境審議会と農業資材審議会の合同会議で協議されたんだな。ところがやっぱりカエルやアイガモ、アヒルなどの生き物は「そもそも農薬ではない」として、指定からはずされたそうだよ」

教頭:「やっぱりね」

校長:「他にも効能のあいまいな牛乳、粉ミルク、米ぬか、木酢液等々の約600項目が保留されるらしい。効能が確認されている重曹や食酢、生き物でも寄生バチやダニなど、これら約120項目に指定が限定されるらしいね」

教頭:「いやほんと、我々田んぼに勝手に住み着いている生き物まで「農薬」呼ばわりされたら、たまりませんよ!!」

校長:「まったくだね!!」

ってことでまた次号。

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