(4)
校長:「三すくみは、中国の『関尹子』と言う古典の中に
螂蛆食蛇 蛇食蛙 蛙食螂蛆 互相食也
と出ており、お互い捕食関係にあるために、三者が互いに牽制し合って身動きできないことをいう。ただしここで出てくる「螂蛆」は、ムカデを指すようだが、どこかでこれがナメクジに入れ替わったらしい」
教頭:「蛙と蛇の関係はよくわかるのですが、ナメクジが蛇に強いってのが、わからないです」
校長:「これも諸説あるようで、ナメクジが這うとそこから腐って溶けるからとか、ナメクジのヌメヌメを蛇が嫌うから、蛇がナメクジを喰うと死ぬなど、よくはわかっていないんだよ。そういや、宮沢賢治の童話で『蜘蛛となめくじと狸』や『洞熊学校を卒業した三人』に出てくるナメクジは、けがをしたトカゲの足を舐めて治すと言って、食べてしまっていたな」
教頭:「ふーむ、そうすると、ナメクジが蛇を食べるという説は、けっこう広く伝わっているものなのかもしれませんね」 |