校長:「なんか、思いっきり暖かかったり、思いっきり寒かったり、安定しない気候だね」
教頭:「まったくです。半袖でもいいくらいの日があったかと思うと、突然山々の頂が白くなる日だってあるし…」 校長:「しかし、すでにアカガエルさんやヒキガエルさんが産卵をしたとの報告が、東京と愛知からありましたぞ」 教頭:「あぁ、あの方達は春眠をなさるので、早春に卵を産んでしまうのでしたね(2003年3月号参照)」 |
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校長:「ときに、ヒキガエルさんの産卵といえば、何を思い出す?」
教頭:「そうですね…、あぁ!蛙合戦ですかね?」 校長:「そう!2001年3月号のクラス便りで勉強したことを覚えてるだろう?あれだよ」 教頭:「その蛙合戦がどうかしましたか?」 校長:「ふむ、これも過去のクラス便りとの関連なんだが、昨年末の12月号にて紹介した浄瑠璃に見られるカエルについて、もう一度紹介したいのだ」 教頭:「ええと、いくつか浄瑠璃の外題があがってましたが、そのうちのどれです?」 校長:「近松門左衛門の『傾城島原蛙合戦(けいせいしまばらかえるがっせん)』だよ。あの時は「妖術」に焦点をあてていたのだが、今回は「蛙合戦」を描写したくだりを紹介したいのだ」 教頭:「ほほう」 |
校長:「右の画像をクリックすれば、蛙合戦のくだりが読めるようになっている。流行の本じゃないけれど、一度声に出して読むと味わい深いと思うぞ。めんどくさければ、文中の赤字の前後だけでも読んで欲しい。赤字にしてあるのは、いわゆる「掛詞」で、「蛙・帰る・返る」に掛けてあるんだ。それと「蟇めの光矢をゐることく」というのは、ヒキガエルの目に似た「蟇目」という矢に掛けてあるんだよ」
教頭:「なるほど。ところでこれは、いったいどういった場面なのですか?」 校長:「御所で管弦の催しがあり、その最中に御所の御池で蛙合戦が始まったんだ。その時の様子を描写したのがこのくだりだな。そしてこのあと、蛙合戦の様子を見ていた警護の武士が、これを報告。すると公達の一人が「古来より、蛙合戦が起こると大きな戦があるなど不吉の前兆」と言い、そう言えば近頃七草四郎なる人物が、妖術を使って人心を惑わしていることを思い出すんだな」 |
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教頭:「ふむふむ、その七草四郎がこのあと乱を起こそうとしたけれども、失敗したってことでしたね(2003年12月号参照)」
校長:「そのとおり。しかし何だな。蛙合戦が不吉の前兆だなんて、言いがかりもはなはだしいよな。もっともこの浄瑠璃の蛙合戦は、本当の戦として創作されたようだがね」 教頭:「まったく本来の蛙合戦は、自然の摂理ですってば」 |